鍼灸古典『黄帝内経素問』金匱眞言論篇(五臓六腑)

この篇では逐一「」が出てきます。ことあるごとに物事を5つに分類しています。

素問にはいろいろな数字が出てきますが、この篇ではほとんど五つに分類しています。現代の中医学でも五の分類、五行は引き継がれています。

…天有八風経有五風…

…八風發邪以爲経風觸五藏邪氣發病…

黄帝内経素問.金匱眞言論篇.

意訳するとだいたい次のようになります。

「自然界には八風という八つの風があります。その風が人に悪影響を及ぼすと経脈に侵入し、そこから五臓を侵して病気を生じます。五臓を侵す風を五風と言います。」

風という表現だからわかりにくいかもしれませんが、天候や天気が人に与える影響を重視していたということですね。

住居は二重サッシと高性能断熱材、会社にも冷暖房のエアコン、長期保存が効く冷蔵庫、軽いのに暖かいヒートテックやダウンコート、防水性と通気性が両立しているレインコートや靴、、、

快適に生活できることはありがたいことです。ただ、それが問題になることもありますが。

*八風…嬰児風、剛風、大弱風、大剛風、弱風、謀風、折風、凶風

四季の力関係

春勝長夏、長夏勝冬、冬勝夏、夏勝秋、秋勝春

黄帝内経素問.金匱眞言論篇.

どの季節がどの季節に勝るのか、こう言ったチカラ関係を相克と言います。

お互いに牽制し合っているため全体を眺めるとどれが優位ということがありません。一つ一つには力関係がありますがどこかで釣り合いが取れているため、基本的には一人勝ちとはならない。でもシチュエーションによっては一人勝ちがあり得る。

ジャンケンみたいなものですね。

ただ、ジャンケンはグーチョキパーの3つですが、ここは5つです。四氣は春夏秋冬の気候のことを言いますが、長夏が加わっているので五の気候となっています。

五臓と風

五臓は肝・心・脾・肺・腎の5つです。その五臓はそれぞれに風の影響を受けるとされています。

東風生於春病在肝兪在頸項

南風生於夏病在心兪在胸脇

西風生於秋病在肺兪在肩背

北風生於冬病在腎兪在腰股

中央爲土病在脾兪在脊

黄帝内経素問.金匱眞言論篇.
  • 春:肝兪:頚項:病在頭
  • 夏:心兪:胸脇:病在臓
  • 秋:肺兪:肩背:病在肩背
  • 冬:腎兪:腰股:病在四肢
  • 中央:脾兪:脊

学生時代に読んだ時は何のことだかわかりませんでしたが、実際に鍼灸治療をするようになると、ほんと、よく観察されているなーと感じます。

五臓と陰陽

…外爲陽内爲陰…

…背爲陽腹爲陰…

…藏者爲陰府者爲陽

肝心脾肺腎五藏皆爲陰

膽胃大腸小腸膀胱三焦六府皆爲陽…

黄帝内経素問.金匱眞言論篇.
  • 外は陽、内は陰
  • 背は陽、腹は陰
  • 臓は陰、腑は陽
  • 五臓(肝・心・脾・肺・腎)は陰
  • 六腑(胆・胃・大腸・小腸・膀胱・三焦)は陽

これが有名な「五臓六腑」という表現。

黄帝内経という鍼灸のバイブル的な存在。そこには陰陽五行の考えをベースに、臓腑、天候、病気、治療など人の営みについて幅広く書かれています。

もしそこに書いてあるもののベースが陰陽五行でなかったなら、鍼灸は全く違うものになっていたかもしれません。

  • 肝:青:目に開く:酸:草木:頭:筋
  • 心:赤:耳に開く:苦:火:五臓:脈
  • 脾:黄:口に開く:甘:土:舌本:肉
  • 肺:白:鼻に開く:辛:金:背:皮毛
  • 腎:黒:二陰に開く:鹹:水:谿:骨
だいたい川崎たまに鳥取。