鍼灸古典『黄帝内経素問』陰陽応象大論篇(陰陽)

陰陽

この篇は、名前のごとく大論です。しかも内容的にかなりまとまっています。現代の中医学においても基本原則となっている陰陽五行の考えが書かれており、応象と題されている通り、そこからの分類と分析がされています。

積陽為天積陰為地、陰静陽躁、陽生陰長、陽殺陰蔵、陽化氣陰成形

黄帝内経素問.陰陽応象大論篇.

陽:天、躁、生、殺、氣となる

陰:地、静、長、蔵、形をなす

陽は気となり働き、陰は形をなす。これは黄帝内経を通して重要な考えなのですが、。身体の中には様々な臓器があり、それぞれに機能があり、外部環境と内部環境に応じながら絶え間なく働いていますが、陰陽はそれらをひっくるめて一言で言ってしまったようなものです。

ですから陰陽は単純に陰と陽がはっきり別れているということではありません。明確な白黒ではなく、浅いグレーも濃いグレーもある、グラデーションがあるのが陰陽です。

人も同じ。そんなに綺麗に分かれたり、白黒はっきりはしません。自律神経の交感神経と副交感神経も微妙なバランスで機能しているもので、カチッとオンオフが綺麗に切り替わるわけではありません。動脈血と静脈血も名前はきっちり分かれていても、現実にはグラデーションがあります。

皮毛

故善治者治皮毛、其次治肌膚、其次治筋脈、其次治六府、其次治五蔵

黄帝内経素問.陰陽応象大論篇.

皮毛→肌膚→筋脈→六腑→五臓

優れた者は、邪が皮毛にある段階で治療するんだ、と書かれています。

その次の段階は肌膚に進行してから治療することで、その次は筋脈に進行してから治療し、その次は六腑に進行してから治療し、その次が五臓にまで進行した頃に治療すると書かれています。

要は超早期発見超早期治療が大切だということと、病気には段階があるということが書いてあるのですが、これはこれから先も何度も繰り返し書かれています。

血実と気虚

血実宜之、気虚宜掣引

黄帝内経素問.陰陽応象大論篇.
  • 血実→決
  • 気虚→掣引

*掣は、元の字は「制に牛」という字が書かれていますが、それでは辞典にも変換にも出てこないため「引く、引きとどめる」という意味の「」としています。

だいたい川崎たまに鳥取。