鍼灸古典『黄帝内経素問』六節蔵象論篇

今回は『黄帝内経素問』の六節蔵象論篇の一節です。

特有の優位性があることで全体としてバランスが取れるようになっています。

春勝長夏、長夏勝冬、冬勝夏、夏勝秋、秋勝春。所謂得五行時之勝。各以気命其蔵。

黄帝内経素問.六節蔵象論篇.

春(木・肝)は長夏(土・脾)に勝ち、長夏(土・脾)は冬(水・腎)に勝ち、冬(水・腎)は夏(火・心・心包)に勝ち、夏(火・心・心包)は秋(金・肺)に勝ち、秋(金・肺)は春(木・肝)に勝つ。

  • 木剋土
  • 土剋水
  • 水剋火
  • 火剋金
  • 金剋木

実は、この相克関係は子どもの頃から知っていました。私が小学生だったころに爆発的人気があった『幽幻道士』(キョンシーが出てくるヤツ)という台湾映画があったのですが、この中で出てくる術に相克が出てくるんです。それで気になって辞典で調べたりしてたんですよね。んー、懐かしい。

蔵象

者、生之本、神之変也、其華在面、其充在血脈。為陽中之太陽、通於夏気。

者、気之本、魄之処也。其華在毛、其充在皮。為陽中之太陰、通於秋気。

者、主蟄、封蔵之本、精之処也。其華在髪、其充在骨。為陰中之少陰、通於冬気。

者、罷極之本、魂之居也。其華在爪、其充在筋、以生血気。其味酸、其色蒼。此為陽中之少陽、通於春気。

脾胃大腸小腸三焦膀胱者、倉廩之本、営之居也。名曰器。能化糟粕、転味而入出者也。其華在唇四日、其充在肌。其味甘、其色黄。此至陰之類、通於土気。凡十一蔵、取決於也。

黄帝内経素問.六節蔵象論篇.

何を司っていて、それが身体のどこにどう現れるかというような話をしています。

黄帝内経は意味が重複するのを嫌がるというか綺麗に分けたがるので分類に無理が出てくる感じ。一番合うわけではないけど間違いでもないという微妙な感じになることがけっこうあると思います。

でも、参考になるのは間違いない。よく見てるなーと感心します。情報が集積している現代ではなく、これを古代に書いたことが凄い。

ズレ

黄帝内経は読み物としてとても面白いと思っていますし、参考にもなります。

ただ、上に書いたように無理矢理合わせたようなところもありますし、編纂された時代や人によって変わっているところもある。

そもそも古代中国の人や気候などの観察をもとに書かれているため、そのままそっくり現代の日本に合うかというと微妙な感じ。体質も違いますし。

そういうことがあっても中医学が受け入れられたり黄帝内経が長く読まれているのは、鍼灸治療というものが「カチッと」枠にはまっているタイプの方法ではないからでしょう。

完全には合わなくても何となく合ってしまうと言うか、合わせてしまうと言うか、多少のズレは勝手に修正されるということだろうと考えています。

だいたい川崎たまに鳥取。