山脇東門『東門随筆』

江戸時代に山脇東門(ヤマワキトウモン)が書いた『東門随筆』(トウモンズイヒツ)は私にとって思い出の書。お気に入りの書の一つで、たまに思い出しては読み返している。

比較的薄い書なので読みやすい。内容は国書データベースで見られるし。*国書データベースのものも含めて写本のため、ものによって内容に差がある可能性あり。

あ、「薄い」というのは物理的な書籍の厚さの話。内容はしっかりあるし面白い。ほとんど漢方についての内容で鍼のパートは少ない。鍼についてまとまって書いてあるところは数丁で、あとはところどころに。でも教訓として大切なことも書かれている。

私が山脇東門という人の考えで好きなのは、現代医学とか伝統医学というような時代や派閥的なくくりよりも医者としてあるべき姿や合理性の方を優先していたこと。そして隠したり誤魔化したりせずオープンであろとした。今の時代の人が見返して偏りがあったとしても、その時点でどうあろうとしたかという点が重要だと思う。

あとは、見立てのことを「筋合(すじあい)」って言うのが何となく良い感じ。

さてさて。

『東門随筆』では前半に同時代の有名な医者についてちょこっと書いている。ひとりひとりはそれほど多くはないが、書かれている人の数は多い。東門の父である山脇東洋、後藤左市郎(後藤艮山)、香川太仲(香川修庵)、吉益周助(吉益東洞)、松原才次郎(松原一閑斎)、垣本鍼源、奥村良筑、甲斐の徳本(永田徳本)、吉尾幸左衛門(吉雄耕牛)、紀国守(平安時代)。それぞれ書いてあることが面白い。褒めたりディスったり。まぁまぁの勢いでディスったりしているところもあるがその気持ちもわかったり。

漢方のことは正直言ってよくわからない。わからないが、それはそれで面白いところもある。

実は『東門随筆』については自分への宿題が残っている。私は鳥取県生まれだが、『東門随筆』には島根県の話が出てくる。島根県の七類というところの話で、「豆嚙」という病について書いてあるところがある。初めて読んだ時とても興味深く読んだ。一度ちゃんとその病について調べてみようと思ってそのままになっている。

ちなみに、今の七類港からは隠岐行きのフェリーが出ている。

だいたい川崎たまに鳥取。