黄帝内経霊枢(九鍼十二原篇)には、病態を4つに分類し、その対処を記している箇所があります。
実泄除虚
黄帝内経霊枢の記載は次のような感じ。
鍼をやる人は下の通りにやること
虚に対して実
満に対して泄
宛陳に対して除
実に対して虚
前にも書いたかもしれませんが、この考え方はとても面白く臨床的です。刺法そのものというより、病態をこの4つに分類したことで応用範囲が広がったという意味で。
もちろん全てではないのですが、霊枢は素問と比べて内容がかなりまとまっています。整理されていると言うか。その過程にはいろいろあったと思うんですよね。
素問と霊枢自体が改訂版みたいな存在ですから内容がバラつくのも当然かなという感じではあるんですが、それが厄介なところでもあり面白いところでもあると思います。
私自身はこの4分類で考えて鍼灸治療をやっているわけではありませんが、便利な参考材料としてこの分類を使っています。
当時もっと細かく分類することも可能だったけどそうしなかった、または4つ以外は明記しなかった、ような気がします。
あ、根拠がない、ただの空想です(笑)
私は黄帝内経に則り鍼灸をやっているわけではないので、無責任な空想・妄想を単純に楽しめます。
古代と現代
補瀉などへの考えは絶対的なものではなく相対的なものです。そもそも補瀉を無視するという考えもありますからね。
現代の生活の中で人の思考や生活が変わり、その移り行く中で鍼灸を行ってきた結果、やる側も受ける側も感覚が変わってきています。
現代よりも栄養状態や衛生状態が悪く、日々の肉体労働で怪我が多かったと考えられる古代。過剰に栄養を摂る傾向があり、頭脳労働が増え身体を動かさなくなってきている現代。
時代の差からくる影響は大きなものだと思います。身体が刺激をどう受け取るか変わっていると考えるのが自然ではないでしょうか。
かつては補法と考えられていたものが現代の身体が瀉法と捉えても何ら不思議はないと思います。その逆もしかり。それに、最近は、手技そのものよりも人に依存するような気がしています。