神経痛と掻痒
帯状疱疹後に神経痛や掻痒が起きる(残る)ことがあります。神経痛は痛み、掻痒は痒み(かゆみ)です。
痛みと痒みが合わさっている痛痒さがある場合もありますし、それぞれ単独のこともあります。また、「ここは痛いけど、ここは痒い」というように場所ごとに違うこともあります。
長期間
文献や症例報告などをみると、この神経痛や掻痒は長期間に渡って悩まされることが多いようです。
私の経験でも、もう1年痛い、ずっと痒いと言われて鍼灸院に来られるケースが多いです。
これらの帯状疱疹後の不調を予防する意味も含めて、帯状疱疹の発症早期に医療機関(皮膚科など)を受診して治療を開始することが重要だとされています。
QOL問題
帯状疱疹後の神経痛や掻痒は、その苦痛の「質」として厄介です。しつこい、激しい、常に気になるなど、イライラする、鬱々するなど、仕事や睡眠など日常生活への影響が大きいとされています。
私が帯状疱疹後掻痒・神経痛の人からこれまで聞いてきた状況では↓
- とにかく痛み(痒み)がしつこい
- 痛みが気になって仕事にならない
- 風が吹いても痛くなる(痒くなる)
- 急に猛烈に痒くなる(しばらくして落ち着く)
- 痒くて夜眠れない(途中で目が覚める)
- 痒さでいつもイライラする(イライラすると痒みが増す)
- 痛みで鬱々する(やる気が出ない)
などなど
頭や顔に帯状疱疹が出た人の中には、それを隠すためにキャップなどを被ろうとしたら痒くて無理だったとか、風が吹くと髪がなびくから痒みが増すと言う人も。
医療機関での治療
帯状疱疹はとにかく初期治療が重要だと言われています。
その理由としては、帯状疱疹(水痘・帯状疱疹ウイルス)に用いられる薬は効果を発揮しやすいゴールデンタイムがあるということがあります。
帯状疱疹そのものの症状が軽くすむことは、帯状疱疹後の神経痛や掻痒に対する予防につながります。
また、顔面部など発疹部位によっては皮膚科だけでなく眼科や耳鼻科など複数診療科で並行して診療する場合があります。早期に受診した方が他科の診療も早くスタートできます。
帯状疱疹後神経痛や帯状疱疹後掻痒は、帯状疱疹が発症した時から継続して治療することがほとんどです。
最初は皮膚科を受診することが多いと思います。その後に痛みや痒みがなかなか改善しないと、ペインクリニックなどを受診したりすることもあります。
掻痒の傾向
帯状疱疹後掻痒は、頭部や顔面部に帯状疱疹が出た後に問題となることが多く、比較的女性に多いと言われています。
私の施術経験から考えても、帯状疱疹後掻痒で鍼灸を受療するのは女性が多く、痒みが強く出ている場所としては目の周囲、耳の周囲、頭皮が多い印象です。
ただ、男女比率や部位の傾向などは鍼灸治療をする上では関係ありません。男性でも女性でも、場所がどこだろうと、痛いものは痛いし、痒いものは痒いですからね。
帯状疱疹後掻痒の鍼灸治療
他の鍼灸師と話したり症例報告をみてみると、帯状疱疹後掻痒・神経痛への鍼灸治療では鍼と灸を併用することもあれば、鍼だけ、灸だけの場合もあり施術内容は一定ではありません。
そこは鍼灸師それぞれの考えも関係してきますし、一人一人で症状の出方や体質が異なるため一定にはなりません。
私の場合、これまでの帯状疱疹後掻痒への施術データを見返してみると、鍼単独施術と鍼灸併用施術が半々、灸単独施術は0でした。ただ、痒みが強い時期に限るとほぼ全て鍼単独施術です。
鍼治療
帯状疱疹後掻痒については、私の経験ではほとんど鍼治療をメインに行っています。鍼灸併用の場合でも灸治療の比率はほんの僅かです。
完全に慢性期に移行した際の全身を整える目的ではまた違ってきますが、掻痒に対する施術はほとんど鍼治療で行っています。
これはあくまで私の経験ではそうだったというだけなので、鍼灸師それぞれにやり方があるものです。
そういう鍼灸の性質は、鍼灸をよく知らない人にとってはわかりにくさにつながっていると思う反面、鍼灸の良さでもあると思っています。
灸治療
私の場合、メインは鍼治療であることが多く、灸は施術のバランスをとるために腰や手足などに少しだけ行うことがあります。灸を全く用いない場合もあります。
この灸への考え方も鍼灸師それぞれです。灸をメインに行う鍼灸師もいます。