皮膚と鍼灸

皮膚

皮膚は知るほどに面白い構造物です。

まず、何よりも「自と他を隔てるもの」という特徴があります。身体にはいろいろな「隔てるもの」が存在しますが、自分と他とを隔てるものは皮膚です。そんな当たり前のことですけど、だからこそ大切。

皮膚の体液循環は皮膚特有のものですし、皮膚には温度や圧や振動など何かしらを「感じる」ための構造や機能があります。外界から自分を「守る」ための構造や機能も多く存在しています。

外界との接触領域として皮膚(体表)への治療を大切に考える鍼灸もあります。

古代に今のような防寒着などの衣類もありませんし、エアコンなどで温度や湿度を簡単に調節することもできません。そのぶん強い心身があったかもしれませんが、それにも限界があるわけで、、、外の環境と接する皮膚を重視するのは当然の考えだっただろうと思います。

皮膚はとても大切な存在です。それは今でも変わりません。

ただ、内臓には内臓の、脳には脳の、皮膚には皮膚の役割があります。身体はどこもかしこも大切ですから優先順位はつけられません。皮膚も大切、どこも大切。

鍼灸

鍼灸は、鍼や灸という手段を通じて身体にアプローチするものです。そういうアプローチと言いますか、アクセスですから、まず「皮膚」に接触することが原則です。

鍼治療は、基本的に皮膚に触れるか刺入しています。灸治療は、基本的には皮膚上で行います。

ただし、棒灸や灸頭鍼などのように、皮膚から離れたところから皮膚へ熱を加えることもあります。灸そのものは皮膚に触れない手法もあります。

どの鍼灸手法でも、非常に敏感で様々な刺激に対してすぐさま対応しようとする皮膚という領域は鍼灸の主戦場になることが少なくありません。

皮膚と鍼灸

身体の不調はどこにでも出ますよね。

皮膚かもしれないし、筋肉かもしれないし、関節かもしれない。内臓かもしれない。頭かもしれないし、心のトラブルかもしれません。

だから、それぞれをみていくことになります。

鍼灸では、皮膚を目視や触診などによって考えていきます。経穴(ツボ)などの見極めなども皮膚から得られる感覚が重要な要素となっています。

*鍼灸師によっては口頭での話や舌や脈などを優先して施術点を決めることもあります。このあたりはいろいろあります。優劣という話ではありません。

皮膚から考えること

基本的に鍼灸は複数要素で考えるため皮膚だけで判断することはありませんが、皮膚からは非常に多くの情報を得られると思っています。

◾️寒熱
◾️乾湿
◾️硬軟
◾️滑走
◾️色調

皮膚から得られる情報はこれだけではありませんが、上に書いたようなことは必ず確認しています。漠然としているので上には書いていませんが、皮膚の艶というか雰囲気というものが大切だと思います。

皮膚はいろいろなことを教えてくれます。

だいたい川崎たまに鳥取。