ケンカネトケイ

私が勤務していた救急病院のボスが私にしてくれた話。

入院施設がある病院はどこもそうだが、当時私が勤務していた病院もスタッフ間で時間をずらしながら昼食をとっていた。通常外来でも救急外来でも外傷患者の来院があると私は必ず外来に呼ばれたため、自然と救急医である院長と休憩が同じ時間帯になることがよくあった。

そう言えば、入職初日に院長の定位置に私が座ってしまうということもあったな。他にいくらでも空いていたのに間が悪いことこの上ないが、いやいや誰か教えてくれよと思ったよ。

昼食の時は院長とよく話をした。普段はほとんど話をしないのだが、昼食の時はプライベートのことをあれこれ話したり、急にナゾナゾみたいなクイズを出してくることがあった。日本史の話なんかは特に好きだった。

たまに「◯◯が大切」なんてことも話してくれた。仕事のこと、家庭のこと、趣味のことまで。

「仕事で大切なのはケンカネトケイだ」

忘れるなよと言われたことがあった。

昼食が私の好きな献立だったので貪り食べていたため一瞬よく聞き取れず「ペンカネトケイですか?」と聞き直したら、「まぁ、それでもいいな」という返事だった。

剣、金、時計。

剣は、自分が戦うための武器。学と技という武器を身につけて一生それを磨き続けろということ。

金は、金の無駄遣いをするなということ。少し仕事ができるようになると急に気が大きくなって金遣いがあらくなると。たまには無駄遣いも良いが、それ以外は意義に思うことにつかうこと。

時計は、時を無駄にするなということ。金と時を無駄遣いしていたら心から納得できるような良い仕事はできない。それをどう使うかは自分にしか決められない。趣味もほどほどにと。

院長にはいろいろと教えてもらったが、この言葉は記憶の引き出しのかなり上位にある。一応は今も守っていると思う。

ただ、院長も私もかなり多趣味だったと思うがそのあたりは大丈夫だろうか。

盆だな。

だいたい川崎たまに鳥取。